■　マニフェストを実行するにあたり

　市長は、マニフェストを掲げて当選した。マニフェストだから、それを達成するために市長は努力していくのは当然なことだ。
　しかし、有権者はマニュフェストをすべて読んで、すべてに賛成して投票したかというと疑問だ。また、別の候補に投票をした有権者もいる。だからこそ、マニュフェストを実行するにあたって、その時の社会状況や市民ニーズを再度くみ取り、もうひとつの代表である議会と真剣に議論をし、判断を下していかなくてはならない。

■　議会側からの提案〜付帯決議〜

　議会側も市長マニフェストだからと、真剣なチェックなしにスルーしていくと「議会はいらない」という存在になっていく。
　２月議会の厚生保健委員会では、最大会派の自由民主党浜松から、現市長のマニフェストである中学３年生までの通院医療費助成に関する準備経費予算について、付託決議をつけたいとの提案があった。
　付帯決議の主な内容は、「高齢化の進展による扶助費の増加、市税収入の大幅な減少という特殊な経済状況などにより、通院医療費助成の対象年齢や実施時期の決定にあたっては、財政規律を重んじた制度になるよう十分な検証を行うこと。特に対象年齢については、段階的な拡充を図るなど配慮すること。国や県に補助制度になるよう、関係機関に働きかけること。」
　政令市の中（名古屋市が昨年８月から小学６年生まで）では、実施している市はないだけに目玉政策にはなるが、永久的に市に財政負担がかかる制度だけに、慎重な対応が必要だ。
　私は、昨年の一般質問で「コンビニ受診」を増長することが懸念されることから、通院医療費助成を進めるにあたり、まずは診療時間内から始めたらどうかと提案をした。市側も検討し、まずは診療時間内を受け入れてくれた。
　中学３年生まで通院医療費（すでに入院は導入済み）を助成するようになると、毎年13億円近いお金がかかる。これには国や県からの補助制度はないので、すべて市で用意しなくてはならない。100年に一度の未曾有の経済危機の中で、市の財政も大変厳しい運営をしなくてはならない（P2参照）。市は行革でつくったお金で賄うというが、平成21年度予算の補助金カットでできたお金は８億円。一律カットされた補助金の中には、社会福祉協議会やシルバー人材センター、地域の催しや伝統行事などがあり、現場は急激なカットにとまどっているところだ。平成22年度はさらにカットとなれば、運営できないところも出てくるかもしれない。今後高齢社会は待ったなしの状況の中で、毎年１３億円を工面できるものだろうか。
　厚生保健委員会では、多数決で付帯決議を可決した。めぐみは付帯決議をつけることに賛成をした。

■　子育て支援は医療費助成だけではない

　誤解しないで欲しい。医療費助成は、子育て世代にとっては大変うれしい制度で、親が安心して子育てできるための支援だ。しかし、子育て支援は、医療費助成だけでは十分ではない。保育園、放課後児童会、病後児保育、障がいのある子ども支援などの充実も必要。また、減少傾向にある小児科医、産婦人科医の確保も大事なことだ。保育園の待機児童が2009年１月１日現在400人も超えている浜松市にとっては、保育園はまだまだ必要だ。医療費が安くなっても、他の支援がなくては子育ては安心してできない。　

■　市長と議会の間には緊張感が必要

今回の付帯決議には法的拘束力はないが、市長側にはプレッシャーになると思う。また、マニフェストの中にある地域協議会の廃止という問題（合併した地域から、存続の要望書が定収されている）も残っているだけに、今後も真剣に市民や議会の声を耳に傾け、持続可能な市政にしてもらいたいものだ。

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